“プロ部活”を真似るべきではない

一部の部活動がつらい。

とくに高校生の部活動の中には、夏休み中に1日練習が続くものがあり、それも朝から夜までというとんでもないものまである。いったい部活動ってなんなんだろう、と立ち止まって考えることもできない。

高校野球の神奈川県大会が終わった。夏の高校野球、というコンテンツは、人々の関心をひき、それなりに商売になる。テレビも新聞もネットも、高校野球というコンテンツを利用して利益を上げている。高校側も、良い宣伝になるので、良い選手を集めて力を入れている。

当然、新聞やテレビで見る限り、美談というか、白球を追う高校球児たちの友情や団結なんてことに焦点を合わせた報道ばかりをする。その実際を知らせる記事なんてものは一切ない。

今年も神奈川県大会のベスト16に進んだ高校は、公立高校2校をのぞいてすべてが私立校になった。ベスト8はすべて私立校。これらの学校の多くは、部員を百数十人かかえる大所帯。ほとんどの生徒が、スポーツクラスという普通の生徒たちとは別のクラスに所属していて、午前中の授業が終わると、午後からは“部活動”という練習が夜まで続く。そんな毎日を過ごしている。

普通の高校生が野球という部活動をやって全国大会を目指して、といったものとはかなりかけ離れたものになっていて、そのことを多くの方が知らずにいるわけだ。メディアもそんなことは伝えはしない。野球、サッカー、柔道、アメフト、水泳、テニス・・・ などなど、ほとんどプロといって良いほどの高校生がいるのは事実だ。

わたしはそれを悪い、というつもりはない。いろんな高校生がいて、いろんな毎日があってよい。ただ、高校生の競技スポーツのひとつの側面が“プロ”化していて、普通の高校生はそれを真似てはいけないし、真似るべきでもない。端っから“プロ部活”集団に勝てるわけもない。

普通の高校生にとって、部活動というのは、本来、高校生の様々な毎日の「ひとつ」であるはずで、それによって毎日が塗りつぶされるものではないはずだ。一部の“プロ部活”を真似ることは、普通の高校生はするべきではないし、指導者もそんなことをさせるべきではないのではないか。夏休みを朝から晩まで部活で塗りつぶすのは異常としかいいようがない。

普通の高校生に、創造的で自由な夏休みを与えて欲しい。

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