秋に共通テスト対策を始める必要はない

――国立大医学部を目指す受験生との面談で伝えたこと
先日、国立大学の医学部を目指している受験生と面談をしました。
そこで、秋からの学習について、かなりはっきりと伝えたことがあります。
秋は共通テスト対策に時間を使わなくていい。
徹底して2次試験対策に集中しよう。
ということです。
もちろん、共通テストを軽視しているわけではありません。
国立大学を受験する以上、共通テストの得点は極めて重要です。医学部であれば、なおさら大きな失点は許されません。
それでも、秋の段階では、私は2次試験対策を優先すべきだと考えています。
理由は単純です。
共通テストの勉強と、2次試験の勉強は、かなり別物になってきているからです。
共通テストは「共通テスト仕様」を突き進んでいる
大学入学共通テストは、センター試験の延長線上にある試験だと考えると、少し見誤ります。
問題文は長くなり、資料や会話文、グラフ、表などを読みながら、限られた時間の中で情報を処理していく問題が増えました。
数学であっても、
「この公式を知っているか」
「この問題を解けるか」
だけではありません。
長い設定を読み、何を聞かれているのかを整理し、必要な情報を拾い、時間内に答えまでたどり着く。
英語も同じです。
英文そのものを正確に読む力に加えて、大量の情報を素早く処理し、必要な部分を探し出す力が求められます。
共通テストには、明らかに共通テスト特有の解き方があります。
私はこれを「共通テスト仕様」と呼んでいます。
そして近年、その傾向はますます強くなっています。
共通テスト対策をやっても、2次試験の基礎にはならない
ここがとても重要です。
以前であれば、
「まずセンター試験レベルを固めて、その先に2次試験対策がある」
という考え方が、ある程度成り立っていました。
しかし今は、そう単純ではありません。
たとえば国立大学の2次試験の数学では、自分で解法を組み立て、途中式を書き、論理を積み重ねて答案を完成させる力が必要です。
英語であれば、英文和訳、内容説明、英作文。
理科であれば、計算過程や考察を含めて、自分の頭で最後まで問題を解き切る力。
こうした力は、共通テストの問題を大量に解いているだけでは、なかなか身につきません。
むしろ危険なのは、
「共通テスト対策をたくさんやっているから、受験勉強は進んでいる」
という感覚を持ってしまうことです。
共通テストの点数を取る力と、難関大学の2次試験を解き切る力は、必ずしも同じではありません。
共テ対策は、2次試験対策の下位互換ではない。
私はそう考えています。
秋は「重い問題」に向き合う時期
だからこそ、秋にやるべきことははっきりしています。
2次試験の問題を徹底的にやり込むことです。
過去問を解く。
類題を解く。
解けなかった問題は解説を読んで終わりにせず、もう一度自力で解き直す。
数日後に、また解く。
「わかった問題」を増やすのではなく、
「自力で答案を作れる問題」を増やしていく。
ここが大切です。
特に医学部を目指すような受験生の場合、数学や理科で一問を最後まで考え抜く力は、短期間では身につきません。
共通テスト対策は、ある程度まとまった期間で一気に仕上げることができます。
しかし、記述力や思考力はそうはいきません。
だから、時間のある秋にこそ鍛える必要があります。
冬になったら共通テスト仕様に切り替える
もちろん、共通テスト対策をまったくしないという話ではありません。
冬になったら、今度は徹底的に共通テスト仕様に切り替えます。
時間配分。
問題を読む順番。
飛ばす問題の判断。
資料の読み取り。
選択肢の処理。
実戦形式の演習。
共通テストには、共通テストの訓練が必要です。
だからこそ、私は逆に、
それは冬にまとめてやればいい
と考えています。
秋から少しずつ共通テスト対策を続けるよりも、
秋は2次。
冬は共テ。
そして共通テストが終わったら、再び2次。
このように学習を分けた方が、何を鍛えているのかがはっきりします。
「全部を少しずつ」が一番危ない
受験生は不安になると、どうしても全部に手を出したくなります。
数学もやらなければ。
英語も。
理科も。
共通テストも。
過去問も。
すると、どれも中途半端になります。
受験勉強では、
「何をやるか」
以上に、
「今は何をやらないか」
を決めることが重要です。
今回の面談でも、
「秋は2次試験対策を学習の柱にしよう」
と伝えました。
共通テストが不安だからといって、今から共通テストばかり解く必要はありません。
むしろ、今しかできない勉強があります。
時間をかけて考える。
答案を書く。
間違える。
考え直す。
もう一度解く。
そうやって思考力を積み上げていく勉強です。
共テと2次は「別の試験」と考える
これからの大学受験では、
「共通テストの延長線上に2次試験がある」
と考えない方がいいでしょう。
共通テストには共通テストの能力が必要で、
2次試験には2次試験の能力が必要です。
別の試験なのだから、対策も分ける。
それでいいのです。
少なくとも、難関国公立大学や医学部を目指す受験生にとって、秋は2次試験の問題に真正面から向き合える最後の長い期間です。
この時期にどれだけ「重い問題」と格闘できるか。
どれだけ自分の手で答案を書けるようになるか。
そこが、冬以降の伸びにもつながっていきます。
秋は、共通テストに逃げない。
徹底して2次試験をやり込む。
今回の面談では、そんな話をしました。