主語を抹殺した男
「主語を抹殺した男」を書いた金谷さんはカナダの大学で日本語を教えています。その金谷さんの外国人への指導法は、
何よりも先に「日本語の動詞には活用がない」ことを学生に教える。これを聞いた学生たちは「開いた口が塞がらない」といったショックを受けるそうです。動詞の活用形を決めるのは主語だ。英語やフランス語やスペイン語では「主語」が決まらないと動詞の活用形が決まらないのだ。
「それで、誰の行為なのか、ちゃんとわかるのですか?」学生が質問する。金谷さんは「tabe-masu」と板書する。「食べ」は動詞だが原型不定詞みたいなもの。「ます」をつけることで肯定文になり文として完成する。これには「だれが」を示す「人称語尾」は必要ない。
金谷さんは、この「tabe-masu」を英訳or仏訳させる。いずれの言語でも「主語が選ばれないと動詞の形が決まらず文が作れない」・・・・・
こんなふうに授業が進んでいくようです。