小田実氏
参院選の最中、小田実氏が亡くなられた。といっても、ピンと来る方は私の年代より上の方だけであろうが、小田実・開高健・高橋和巳・柴田翔・・・という名前は、高校時代の私にとても大きな影響を与えた作家たちだ。
社会主義が崩壊し、小田氏のように社会主義を理想郷としていた人たちを「過去の人」と片づけることは出来ない。ましてや、結果を知っている我々が小田氏の過去の言動をあげつらって批判することも意味がない。
もしかすると、今の市場原理第一主義も30年後には崩壊し、過去の遺物となっていることも考えられる。「何でもみてやろう」「裸の王様」「我が心は石にはあらず」「立ち盡す明日」・・・ 今一度読み返してみたい本ばかりだ。
しかし、今の高校生たちにこうした話をしても通じないだろうなぁ。時代とはいえ、あまりに「生き方」とか「社会のありかた」とか「自分が拠って立つべき場所」とか「イデオロギー」とか・・・
そんな話題は「宇宙語」になってしまう。そんな話をする人は「しんじられなーい」で片づけられてしまう。言葉が言葉としての本来の役割を与えられていない、不幸な時代だと思う。