あまりにも悲しい出来ごと

オリンピックで活躍した若者たちもすごい。が、アフガンで志し半ばにして亡くなった(殺された)伊藤君という若者。彼もそうしたメダリストたち以上にすばらしい。こうした若者がいたことを、機会を見て授業の中でmiyajukuの生徒たちにしっかりと伝えたい。めったなことでこうしたニュースを伝えることはないが、このニュースだけはしっかりと伝えたい。同じ日本人の若者の中に、伊藤君のような選択をし、遠い異国で銃弾を無数にあびて死んでいった者がいたことを・・・ しかも、その若者は現地の人々のために働いていたNGOだったことを・・・ 

伊藤君は、高校、短大で農業を学習し、あの同時多発テロの事件が起こった後にアフガンに関心を持ち、アフガンの大地に緑を、という志を抱いたという。現地に渡ってからは、現地語を学びつつ現地の人々の生活に入り込み、農業指導を続けていたとのこと。ニュースの写真を見るだけだが、本当に良い笑顔だ。きらきらとした「夢」を追う「目」を感じる。

何も戦争状態のアフガンに行く必要もない。しかも行ったからといって何ほどのことができるのか。それでも彼を突き動かした感情があったのだろう。きっとそれは「他人のために自分が出来ることを精一杯やろう」という純粋な衝動だったのだろうと思う。

振り返って今の自分はどうだろうか、とわたし自身が自省させられる。

「平和」というのは何の努力もなしに手に入るものではない。今の日本の「平和」も多くの先人たちの犠牲の上に成り立っている。そして、世界中では「平和」を求めて悪戦苦闘している人たちもいる。そうした「状況」を心の片隅に少しでもおいておきたい。ちょっとでもよい。そうした状況を知っておくことで、今の自分の有り様を振り返りたい。

オリンピックで金メダルをとった北島選手。伊藤君はその北島選手とほぼ同じ年齢だ。北島選手も日本国中に勇気を与えてくれた。それ以上に伊藤君もわれわれに「他人のためにあなたは何が出来ますか」という問いかけを与えてくれた。さぞかし無念だったろう。心から冥福を祈りたい。同時に、伊藤君のご両親にお悔やみを申し述べたい。「すばらしい息子さんをお持ちだったんですね」と。

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