ちょっとまずい状態

この2か月で3人の親しい人をおおくりした。

姿、形のあるものを火葬し、お骨だけになっていく様子。残された者の悲しみ。人の生き死にの物語り。そうした時間に濃密に関わることは、この歳になっても精神に大きな負担をきたす。

挨拶をした。裏方に徹した。しっかりとおおくりした。それぞれの死への関わり方は違う。

人はいつか死ぬ。そんなことを日常では考えもしない。他者の「死」に接したときがもっともそうしたことを考えさせられる。いろいろな「死」がある。いろいろな「おくり方」がある。とにかくいろんなことを考えさせられる。

自分とは何か。自分は、今、何をしているのか。生きることの意味。今、自分が生きていることの理由・・・・ そんな自問自答を強いられる。

さすがに疲れている。

今夜は久し振りに中原中也の詩集を引っ張り出してきた。

サーカス  中原 中也

幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜 此処《ここ》での一《ひ》と殷盛《さか》り
今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁《はり》
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭 倒《さか》さに手を垂れて  
汚れ木綿の屋蓋《やね》のもと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が  
安値《やす》いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉《のんど》が鳴ります牡蠣殻《かきがら》と

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
     
屋外《やぐわい》は真ッ闇《くら》闇《くら》の闇《くら》
夜は劫々《こふこふ》と更けまする
落下傘奴《らくかがさめ》のノスタルヂアと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

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