仕事で自己実現?!

今のこどもたちに呪文のように浴びせられ続ける考え方のひとつに「自己実現」というキーワードがある。辞書で調べると「《self-realization》自己が本来もっている真の絶対的な自我を完全に実現すること。転じて、自分の目的、理想の実現に向けて努力し、成し遂げること。」とある。いかにも、という言葉だ。この言葉の持つ意味についてモンクをいうつもりはない。でも、こうした窮屈な言葉を浴びせられ続けて、小、中、高、大と進んでいくこどもたちはちょっとかわいそうだ。

学校のキャリア教育などでは、仕事によって自己実現をしよう、などと教えられるらしい。そして、世の中で活躍する一線級のオトナのメッセージなどを聞かされる。いわく、夢は必ず実現する、夢を追い続けろ、といったコメントだ。こどもたちは、夢は実現しなければいけないものだと強迫観念にとらわれる。仕事によって自己実現することが大切だ、などと思い込んでしまう。

でも、現実の世の中は、変化のスピードがものすごくはやくて、仕事も流動化しがちだ。自分のやりたい仕事が出来るものなんてほんのひとにぎりで、多くのオトナは何とか時代の流れのスピードについていっている、というのが実際のところだ。仕事に自己実現なんかもとめたところで、それを可能にする状況なんか世の中にはない。

一所懸命に就活をして就職したのに、3年以内の離職率はかなりのものだという。いわゆるミスマッチというヤツだ。仕事で自己実現しよう、なんて考えるからおこることだ。というよりも、そんな考えで就活をしたってうまくしくはずがない。企業側が求めているのは、柔軟性をもって時流に対処できる能力にかかっている。とにかくそれほど時代の動きははやくて流動的なのだ。

仕事に自己実現をもとめるようなヤツはヘタレてしまうのが現実だ。そんな強迫観念を植え付けるようなキャリア教育というものに私は疑問を持っている。きれい事ばかりを並べたところでしかたがないんだ。自己実現。こうした良い言葉には毒がある。