東電と尾瀬と原発事故

東電の事故があってからずっと気にかかっていたことがあった。尾瀬の自然が危ない、ということだ。放射能汚染が尾瀬に及ぶ、ということではない。尾瀬の自然を守っていたのが東京電力だったのを知っていたからだ。今回の事故で、東電は尾瀬を守る余力をなくすだろう、と予測していた。

今日の読売新聞ニュースに「やっぱり」という記事が載っていた。「東電、尾瀬の土地を売りたいけれど」というニュースだ。要約すると、今回の原発事故の補償金を捻出するため、東電は大規模な資産売却を考えている。尾瀬国立公園の4割を所有している東電はその土地の売却も検討している、ということだ。

東電は水力発電の水源地としての重要性から尾瀬の保護をおこなっていた。同時に、年間2億円をかけて、木道の整備、自然環境保護をリードしてきた。その東電が尾瀬から手を引けば、尾瀬のあの自然を維持することは不可能になる。

はっきり言うと、尾瀬が富士山のようになってしまう。富士山の自然環境破壊はもう臨界点にたっしている。それでも、誰も手をだそうとしない。政府も自治体も民間企業も富士山が壊されていくのを見ているばかりだ。尾瀬は豊富な資金を持つ東電によって守られてきた。その保護者がいなくなってしまう。

国でも、自治体でも、篤志家でも良い。東電の代わりに尾瀬を守ってくれる人や組織を作っていかねばならない。ずっと言われてきていることだが、入山料をとるなどして、自然保護の基金を作るなどの対策が必要だと思う。

写真は昨年の8月に尾瀬に行ったときに撮った、尾瀬ヶ原の「ヒツジグサ」。尾瀬の池糖に咲く。未の刻(午後2時頃)に花を開くのでこの名前がついている。

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