作曲家・吉田隆子 書いて、恋して、闊歩して

ちょっと前のNHKの「ETV特集」という番組で「吉田隆子を知っていますか」という放送があった。吉田隆子という女性は、戦争の時代を「新しい音楽」を目指して生きた人だ。この本は、そんな吉田隆子の一生を、最近になって見つかった隆子本人の日記も交えて紹介している。また、生誕100周年を記念しておこなわれたコンサートの音楽CDや楽譜も付属している。

吉田隆子

男性中心の音楽界にあって女性として世界に通じる音楽を探し続ける。また、劇作家の久保栄と結婚してからは、築地小劇場を中心に民衆に訴える音楽を創り出す。戦争の色が濃くなる中、軍部ににらまれて何度も特高に捕まり拘留される。そんな拘留の中で肺を病み、長い闘病生活を送る。さらに夫の久保も特高に連れて行かれる・・・

中高生の女の子に読んで欲しい一冊です。こんな女性がいたんだ。女性解放と反戦の意志をまげずに、しかも新しい日本の音楽を創造し続ける。強い意志と行動力を持ち、なおかつ人生を謳歌して「かっこよく」生きた。まさしく「時代を闊歩」し「恋」し「創造」した女性。

こうした先人たちの上に今の私たちの毎日があること。それを忘れたくないですね。同時に「きな臭いにおい」があちこちから漂ってきている今こそ、吉田隆子のような生き方をもう一度見直すべきかと思います。私も「リベラル」ということの意味をこの本を読むことでもう一度考え直しました。

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