藪そば
東京駅を下りて和田倉堀を渡って和田倉噴水公園に。秋の景色と丸の内の高層ビルが対照的な風景を作り出していておもしろかった。
大きな企業の本社ビルが建ち並ぶ大手町界隈を歩くと、ぽつんと異空間が。将門の首塚のある一画だ。この首塚を何度か移転させようとしたのだが、その度に不吉なことが起こったという。また、周辺のオフィスでは、この首塚に背を向けないように席が配置されているとのこと。確かに霊気がただよっている場所だった。
江戸城大手門から三の丸収蔵館を見学して。江戸城天守台へ。明暦の大火で延焼したあと、再建されることのなかったという天守。その土台の石垣は余りに巨大だった。1579年に作られたという安土城の天守跡との規模の違いは圧倒的だった。わずかに30年で、冨が集中する中央集権国家が作り出された流れを再確認した。
雨も降ってきたので、今日の目的のひとつ、浅草雷門近くの「藪そば」へ地下鉄を乗り継いで向かう。雨の中でもたくさんの人が順番待ちをしている。
藪そば名物の「てんぬき」とぬる燗をいただく。といっても、私は「てんぬき」なるものを今日まで知らなかった。友人が、「てんぬきでぬる燗を呑むのが最高だ」と言うので真似てみたのだが、確かに完璧な組み合わせ。
「てんぬき」とは、天ぷらそばのそば抜きのこと。それがそば屋で注文される由縁とは・・・
☆蕎麦屋で酒(日本酒)のつまみに天麩羅蕎麦を頼むと、飲んでいるうちに蕎麦がのびてしまうため打ち立ての旨い蕎麦を味わえず、「これでは店のあるじに失礼である」という客としての心使い
☆「酒を飲んでいる時には腹にたまるものは食べたくない」という酒飲みの心理
☆「蕎麦は汁にたっぷりつけて食べるものではない」という(スノッブで意地っ張りな)江戸っ子の気風
ということだ。とにもかくにも、最後に「ざるそば」でしめる。辛めの濃いタレが「藪そば」の特徴。細めの上品なそばの3割をタレにつけてツルッといただく。何だかやみつきになりそうな呑み方だった。
仲店を抜け、旧吉原を散策して、雨脚のつよくなる中タクシーを拾って上野駅へ。JRを乗り継いで新宿に出て、「思いで横町」で煮込みと日本酒を ここは、私の大学生時代の胃袋をまかなってくれた場所。この細い路地に入るととっても落ち着く。帰りのロマンスカーではぐっすりと眠ってしまった。
いやぁ、大人の呑み方をした1日だった。それにしても「藪そば」は良かった