リビングにて呑みながら
いつものように寝る前に一杯やっていると息子がやってきた。
「お父さんがいなかったらオレって今頃どうしてたかなあ」
「・・・」
「センター前であたふたしながら、結局、浪人ってパターンだったかなもしれない」
「・・・」
「入った高校にしても、ちゃんと先を読んでたんだよなぁ。すごいよ、やっぱり。」
「・・・」
「オレさ、もしかしたら島とかいっちゃうかもしれないよ。海の研究とかホントにやりたいし。」
「・・・」
うーん。そんなことを考えていたのか。
そんな話をしていると娘が下りてきた。
「わたしさ。やっぱり数学にかけることにした」
「・・・」
「けっこう、自分の夢を語るんだよ、みんな。医者になりたいとか、栄養士になりたいとか、化粧品の会社に勤めたいとか、そんな話を聞かされるんだ。」
「そんな時、お前はなんて言うんだ」
「夢があっていいね、って言ってるよ。私は夢が見つからないし。」
「でもさ、何がしたいって、大学に行ってからだっていくらでも見つかるよ。大事なのは、いろんな夢を真剣に追っかけている人間がいる大学に行くって事だよ。」
「そうなんだぁ」
「そうさ。今、お前が通っている高校よりもおもしろい人間が集まっている大学に行かないとつまらないじゃないか。」
「そうだよね」
うん。
元気が出てきた。お前たちが頑張るようにお父さんも頑張る。
お父さんの夢を追い続ける。