新しい国語の教科書
学校文法は橋本文法といって橋本進吉という人によってつくられた。文を文節に分けて考えるのがその柱となっている。どちらかというと実用的な文法体系ではなく、形式的な文法体系だ。形式的だからこそ教えやすいので学校文法として長く教科書で教えられているわけだ。その証拠に、外国人に日本語を教えるときに、橋本文法にふれられることはゼッタイにない。
外国人に形容詞と形容動詞の区別を教えたところで意味はない。日本語学校では「イ形容詞」と「ナ形容詞」と名付けて教えているという。この方がさっぱりとしている。
中学校の国語の先生の中で、文法をこれでもかっていうぐらい時間をかけて教える方がいる。そうした先生は「何を目的として」国語の授業をおこなっているのだろうか。たぶん、形式的で教えやすいからだと考えられる。あれを教えることでこどもたちの「国語力」がアップすると考えているとすれば不勉強と断じるしかない。
こどもたちの国語のチカラがおそろしいほど低くなっている。これは現在進行形だ。そんな中、昨春、小学校の教科書が改訂され、今春、中学校の教科書が改訂された。とっても良い教科書になっている。何よりも語彙をしっかりと学習させよう、という意志が教科書全体から感じられる。以前の教科書のように「少女漫画チック」な物語文だけが目立つような教科書ではなくなっている。「読む」「聞く」「話す」「書く」「知識」「心」などバランスよく教材が配置されている。とっても良くできている。
できれば、この教科書を使って丁寧に国語の授業を進めて欲しいと願う。せっかくの教科書だ。税金が投入されている教科書だ。文法やら弁論やらと教科書から離れた授業ばかりをやって教科書がもとめている以上の学習成果を得られるとは考えられない。そうではないでしょうか