10年後に必要なチカラ
先の見えない時代だという。今ある仕事でも、10年後にそれが残っているとは限らないらしい。とくに人工知能(AI)の進歩によって、以下の仕事はなくなっていくという。タクシー運転手、法律事務所の事務員、レジ係、税務申告書作成者、医療事務員、不動産仲介者、コールセンターのオペレーター・・・
なくなる仕事を想像すると、これから残る仕事が見えてくるはずだ。
例えば、レジ係がいらなくなるとはどういうことだろうか。きっと、近い将来の小売店はこんな感じなのだろう。ひとつひとつの商品に電子タグがつけられている。客は買いたい商品をカバンに入れてレジを通り過ぎるだけで商品情報が読み取られ、あらかじめ登録されたクレジット口座から代金が引き落とされる。
万引きもなくなるし、販売員は必要なくなる。でも、ICタグや電子処理システムの開発、補修業務は必要だ。さらに、データを分析して、売れる商品を提案したり、店舗に付加価値をつけるような業務は今よりも必要性を増すはずだ。単純業務は消えるが、IT関連や新たな価値を生み出すような業務は必要性を増していくだろうということだ。
ということは、今の子どもたちが身につけなければいけないチカラはなんなのか、といったことははっきりしてくるはずだ。与えられたことをしっかりとやっていくチカラではなく、新たに課題を発見しそれを解決していく能力。
これを日々の学習で言いかえれば、問題文の中から問われていることをしっかりと理解し、さらには情報を整理整頓して無駄な情報を省き、必要な情報だけを取り出して解答を導き出していくチカラと同じといえる。まさに、新しい神奈川県の公立高校入試問題への対処と同じだし、2020年に向けて動き出している高大接続改革で出題されるだろう問題への対処とも同じといえる。
多くの子どもたちはちょっと難しい問題にぶつかると、「習っていない」「まだやっていない」といった言葉でそうした問題を避けてしまう。そこで腰を据えて問題と向き合い、きっちりと理詰めで問題を分析し、ひとつずつ紐解きながら解答に結びつけていくことこそが、10年後に求められるチカラなのだ。